企業買収における仲裁条項:一人の売主に関する瑕疵は他の売主にも影響するのか
OGH 4 Ob 200/25b | 2026年3月26日
複数の売主が共同で有限責任会社(GmbH)の持分を買主に譲渡しました。持分譲渡契約には、紛争は通常裁判所ではなく仲裁廷で解決する旨の仲裁条項が定められていました。しかし、売主の一人は、売買代金の一部の支払いを求めて通常裁判所に提訴しました。その理由として、他の売主について仲裁条項締結時の方式または代理権に瑕疵があり、その瑕疵により自身についても仲裁条項は無効になると主張しました。
これに対し、オーストリア最高裁判所(OGH)は、この主張を退けました。判断のポイントは、売主らが「必要的共同訴訟当事者」に当たるかどうかです。本件ではこれに該当しないと判断されたため、仲裁条項の有効性は各売主について個別に判断されるべきであるとされました。したがって、一人の売主に方式上または代理権上の瑕疵があっても、そのことだけで他の売主について仲裁条項が無効になることはありません。
実務上のポイント: 複数の売主が関与する企業買収では、各売主について仲裁条項が適法かつ有効に成立していることを個別に確認し、適切に記録しておくことが重要です。一人の売主に関する方式上の不備が、他の売主の仲裁条項まで当然に無効とするものではありません。